【紹介】村田沙耶香著『生命式』本当に危険な短編集!
これは本当に危険な短編集
こんにちは、カナです!
今日紹介するのは、4月中に読了した小説7作品の内、my best本になった、
村田沙耶香さんの『生命式』を紹介します!
帯には、”文学史上、最も危険な短編集”と記述されていますが、村田さんの脳の中身に少しずつ順応してきた私にとっては、「最も危険とか、言い過ぎでしょ。まあ大丈夫、楽しみ〜♪」という面持ちで読んでいったわけですが、、、、
本当に危険でした!(帯に喧嘩売ってごめんなさい。)
読了後、2、3日はフワフワしてしまい、道端で蒲公英を見ては、愛犬を撫でては、「生命式」を思い出す毎日。
気持ちよく、あてもなく、空気を漂ってしまう読後感でした。
「生命式」には全12篇の短編集が収録されています。中には2、3ページの短さのものもあります。12篇も詰め込む必要はあったのか…読んでいる最中はそう思いましたが、読み終えてみると、12篇あるからこそ、危険な感じを思う存分味わえるのでは、と思いましたので、大満足の短編集でした。また、深読みをしていくと、ゾッとしてしまうものも多くありました。
表題作「生命式」とは
12篇の内、私が特に好きだったものは、「生命式」「素敵な素材」「素晴らしい食卓」「孵化」の4作品。その中で、表題作の「生命式」を今回は紹介して行きたいと思います。
生命式とは、死んだ人間を食べながら、男女が受精相手を探し、相手を見つけたら二人で式から退場してどこかで受精を行うというものだ。(p12、13)
ざっくり紹介すると、死んだ人間の肉を食べて、そこで出会った人が受精をするという
明るいお葬式です。
人肉というとなんともグロテスクなものを想像しますよね。しかいここは、村田沙耶香さん。調理の過程も出来上がった料理も本当に美味しそうなんです。私は本気で食べたいと思ってしまいました。
じゅわっと、中から肉汁がしみ出す。団子にかけた柚子の果汁の酸味と、大根おろしの食感と共に、牛や豚より少し濃い、けれど猪ほど臭みのない、まろやかで濃い肉の味のする団子がほぐれていく。(p38)
冒頭は嫌悪感を抱くものの、1篇読み終えればこの通り。ペロリと平らげてしまうような短編集です。
正常とは一体何なのか…固定観念にがんじがらめになっている人こそ、この短編集は救いになるのかもしれません。
また、2009年から2018という幅広い期間に雑誌掲載された12篇であるので、様々な村田ワールドを楽しめるのもこの本の魅力です。
気になった方はぜひ手にとってみてくださいね!
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
皆様に素敵な本との出会いがありますように。