女子大生の読書日記

ゆるっと、本の話を気まぐれに

上半期に出会ったお気に入りの5冊

2020年上半期 心躍る、出会い

今回は私が2020年上半期に読んで良かった本を紹介します。どの5冊も私にとって、とても大切であり、順位をつけることはできないので、読んだ順に振り返ります。簡潔に、かなり主観的な紹介になってしまいますが、少しでも興味や共感持っていただけると嬉しいです!

 

一月六日 瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』

そして、バトンは渡された (文春e-book)

一言「森宮さんが好き」

パッと思いつく限り、ここ最近で一番好きな小説の中のキャラクターが森宮さん。森宮さんは、優子ちゃんの五人の親の内のひとりです。すごく一生懸命で、その向き合い方や森宮さんの言葉がとにかく好き。また、家族はこうであらねば、これが普通だ、というような考え方から自然と逃げ出して、ほくほくとした幸福感に正月早々浸ったなぁというような思い出があります。この小説の中には、料理がたくさん出てくるのですが、思わず読んだその日に餃子を作りました。好きな小説を思い浮かべながら、ご飯を食べることができるのってとても幸せですよね。

 

一月二十一日 平岡陽明 『ロス男』

ロス男

一言「じわじわ感動」

読了後、二日、三日と経つにつれてなぜか、じわじわ感動するという不思議な体験をしました。この小説の主人公と私の共通点など全くないのです。主人公は、ロスジェネと呼ばれる1990年代後半〜2000年代初頭の就職氷河期に社会に出た世代のフリーライターの男性。そして、何か大きなどんでん返しだったり、大きな展開がある訳でもないのです。それなのに、じわじわ感動してしまう。このじわじわは一体どこから?ぜひ、このじわじわ感動を体験してみてはどうでしょうか。

 

二月十九日  村田沙耶香『消滅世界』

消滅世界 (河出文庫)

一言「な、なんだこれは‥!」

村田沙耶香さんとの運命的な出会い。足元がぐらぐらする、どうしよう。私は読了後、放心状態になっていたと思います。この世界では、夫婦間での性行為が禁止され、家族と恋愛(性欲)が切り離されいくのです。性欲とは社会に作られたものなのではと考えこんでしまうほど、現実と非現実の境目が分からなくなっていきます。『コンビニ人間』が嫌いではない、どちらかと言うと好きかな、好き、という方にぜひ読んで欲しい一冊です。

 

四月十八日 村田沙耶香『生命式』

生命式

一言「ふわふわする」

道端のたんぽぽを見る度、飼い犬を見る度にドキッとする。そして、一冊読み終える頃には、宙を漂っているような、足が地に着かないような、今までに体験したことのない読後感でした。私の体にとりついているしがらみを丁寧に、取り除かれたような感覚になるのです。また、初めて短編集の良さに気づけた作品でもあります。

librarynisumitai.hatenablog.com

 

五月二十四日 村田沙耶香『となりの脳世界』

となりの脳世界

一言「え!って何回言ったかな」

こちらは村田さんの脳の中身を覗くことのできる、たいそう貴重なエッセイでございます。よく、村田さんの小説を読んだ方が「この方はどんな方なのか(怯えながら)」また、「彼女は怒っている」等々の書き込みを見ることがあるのですが、そんな時、私は画面に向かいながら、「そんなことはないのです!彼女は可愛くて仕方ないのです!」と全力で誰に届くはずもなく心の中で呟くのです。またこのエッセイは「え!」の連続です。こそそめスープって何?歯ブラシの岩崎さんって誰?ほらほら気になってきたでしょう?小説が合わなかった人も、まだ村田さんを知らない人も彼女の頭の中を覗いてみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

今回は上半期に出会ったお気に入りの5冊を私の記憶や読後感を中心に紹介してみました。5冊中3冊、村田沙耶香さんという何とも偏りのある結果になりました。それだけ、村田さんとの出会いは衝撃的であり、運命のようなものだと思っております。2020年の下半期、これからまた新たな本との出会いを楽しみに、日々淡々と過ごしていきたいと思います。

 

最後まで、お付き合い頂きありがとうございます。皆様に素敵な本との出会いがありますように。